2006年07月06日

奇跡の経営

 先日、ある大学助教授の講演を聞いた。経営学の研究者だった。

 詳しくは記さないが、どうも時代遅れの感がある話で、その大学の経営自体を心配したくなるような内容だったがそれは置いておく。

 さて、以前就職活動と「奇跡の経営」という記事に、少しだけこの本のことを書いた。

 おそらく、アカデミズムの世界で研究されているような内容とは真っ向から対立するであろう話が、この本の骨子である。著者は、ブラジル・セムコ社のCEO、リカルド・セムラー。

 私はこの大して長くもない一冊の本に、本当に幾つもの、感銘を受ける箇所を見つけた。その中から特に二つ、書いてみようと思う。

ストライキをする社員が欲しいのは、お金ではない。

 1980年代半ばの米国自動車メーカーのストの話が載っている。労働者は厳しい冬の寒さの中、雪の中で、数ヶ月に渡ってデモ行進をし、ピケをはって、経営者サイドを悩ませていた。

 セムラーは、労働者側の要求する賃金アップと、経営者側が譲歩できたであろう額との差を試算してみた。するとその差は、一人の労働者にとって、小型テレビ1台分の値段でしかなかったそうだ。

 労働者は、そんなわずかばかりのお金のために、凍えそうになりながら、辛いストを展開したのだろうか? それは違うだろう、というのがセムラーの結論だ。

 私も、会社の賃金制度や考課制度、あるいは考課内容そのものについて色々と考えることがある。だが、その考えが「賃金」にのみ帰結するものなのか、と改めて考えてみると、確かに違う。

命令に従って行われるプロジェクトは成功しない

 トップダウン・マネジメントは、この本では明確に否定されている。

 一方で、あるプロジェクトの成否を開始前や実行中に予測し、Go or No Goの判断することは、経営学にとって永遠の課題であると言ってもいい。(どのプロジェクト案を採用して進めるべきか? 競合分析はできているか? 市場規模は? SWOTは? ブルーオーシャンかレッドオーシャンか?)

 だが、そもそもプロジェクトの成否とは何だろうか? 利益貢献だろうか? それとも売上高成長に寄与することだろうか?

 無論、様々な答があるはずだ。そして、セムコ社は最も優先すべき明確な答を持っていて、マネジメントはそれに従って行われている。(と言うよりも、行われていない。)

 冒頭に書いた経営学の助教授は、これを読んでどう思うのだろうか? 聞いてみたい気はしたが、あまり有意義な反応は得られそうになかったので、止めておいた。

奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメ
奇跡の経営 一週間毎日が週末発想のススメリカルド・セムラー 岩元 貴久

総合法令出版 2006-01-24
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 最後に、この本を読んだ後で思った。セムコ社は現在どうなっているのだろう? うまく行っているのだろうか?
 セムコ社のWEBサイトを見ても、上場していないのでIR情報なども無いし、よくわからない。が、読んでみた限り、セムコ社の方針に大きな変更は無いようである。

 蛇足ながらもう一つ。副題はあまり良くない。原題は確かに「THE SEVEN-DAY WEEKEND」だが、「週末発想のススメ」は、相応しくないだろう。何かの発想法、手法について書いた本のように思われてしまいそうだ。
 この本は、セムラーの経営哲学と、その実践について書かれている。それを表しているのがTHE SEVEN-DAY WEEKENDなのだ。



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