2006年07月13日

ローマ人の物語

 われわれは、富を追求する。だがこれも、可能性を保持するためであって、愚かにも自慢するためではない。アテネでは、貧しいことは恥ではない。だが、貧しさから脱出しようと努めないことは、恥とされる。

ペリクレス(紀元前460年頃。塩野七生「ローマ人の物語2」より)

 理性に重きを置けば、頭脳が主人になる。だが、感情が支配するようになれば、決定を下すのは感性で、理性の立ち入るすきはなくなる。

ユリウス・カエサル(紀元前63年、ローマ元老院での発言。塩野七生「ローマ人の物語8」より)

 旅行に行くときは、その土地にちなんだ物語や小説を持っていくことが多い。

 例えば、ギリシアには呉茂一のギリシア神話を持って行った。タヒチには、北杜夫の南太平洋ひるね旅を持って行った。

 私とて、いつもいつも成功本やら投資本やらビジネス書やらを読んでいるわけではないのである。

 イタリアに行く際、以前から読んでみたいと思っていた「ローマ人の物語」の文庫版を買ったのだが、これが面白くてしょうがない。以前にも少し書いたが、一気に読んでしまうのはもったいないので、少しずつ少しずつ購入して、読み進めている。今は8巻の途中だ。

 ローマの歴史に興味を持った直接のきっかけは、岩明均の「ヘウレーカ」「ヒストリエ」を読んだことだと思う。これらの漫画の背景、地中海世界について知りたかったのだ。(学校の授業は、遥か遠い記憶だ。)

 ちなみに上記2作の漫画も抜群に面白いのだが、今回はローマ人の物語について書いているので、泣く泣く置いておき、本題に入る。

 どうも私は歴史に対する知識が少なく、この本を読む前は、二千年以上昔の人々の諸言行がこれほど…何と言うか、「理に適っている」とは思っていなかった。
 無論、その「理」は現在とは異なる。しかし、時代背景に適合しているという意味では、現在と何ら変わりは無いと言える。
 有史以来、人間は段々と進化発展をして現在の社会を形作ったのだというイメージを、何となくではあるが、持っていたのだと思う。つまり、二千年前は、未発展、未成熟の社会であった、というイメージを。私が理系で、科学及び科学技術の発展と社会そのものの発展を結びつけて考えがちなことも、そのイメージの原因だと思う。

 だが、この本が生き生きと描く世界を読むと、そのイメージが覆される。当然ではあるのだが、当時には当時の生活があり、文化があり、政治があり、経済があり、学問があり、歴史があり、…。それが、率直に言って非常に面白い。

 そして、冒頭に引用した二つの言。この本の登場人物は非常に多いが、例えば彼らから、何かを学べないわけがないではないか。

 おそらく、現在を生きる我々の諸言行も、やがて同じように未来人から顧みられるのだろう。人類の歴史上最も多くの犠牲を払って(犠牲を過去からの積算で考えれば当然だ)ここまでやってきたからと言って、我々は人類の歴史上決して特別な存在ではないのである。

 それにしても、なぜ、ローマ人(及び地中海世界の住人たち)は、初期の戦争ばっかりやっていた頃に鐙(あぶみ)を発明できなかったのだろうか? とても不思議だ。

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